
バガン遺跡群は、ミャンマー中部のエーヤワディー川沿いに広がる平原地帯に位置する。11〜13世紀に繁栄したパガン王朝の都であり、最盛期には1万基以上の寺院・仏塔・僧院が建設された。現在も約2000基が残り、広大な大地に点在している。
この地を潤すエーヤワディー川は、肥沃な土壌をもたらし農耕を支えた。平原には椰子の木や低木が立ち並び、遺跡群はあたかも自然の一部として溶け込む。乾季の朝には霧が立ち込め、仏塔の尖塔と木々の影が淡く浮かび上がり、幻想的な景観を生み出す。
風や雨、大地の浸食は遺跡を少しずつ削り、その形を変えながらも自然の営みの中に抱きとめてきた。現在も農民は遺跡の合間で畑を耕し、牛を放牧する。そこには、遺跡・人・自然の共存が垣間見れる。
バガンは人の信仰が生み出した石造建築と、大地のリズムが織りなす時間の層が重なり合う場所であり、人と自然の記憶をともに刻み続ける風景である。