
ジャンベ・ラカン・ドゥップは、ブータンの聖地ブムタン谷にある古刹ジャンベ・ラカン寺にて毎年秋に催される祭礼。
この祭事は人々が功徳を積み、来る年の平安と豊穣を祈願し、生々流転に寄り添う儀礼である。
寺院の中庭を中心に仮面舞踏チャムが厳粛に演じられ、祈りの所作が時の流れを包み込む。祭り自体が神仏への供物であり、大地への感謝であり、浄化と再生の象徴である。
特にこの祭りの終盤に行われる「火の儀礼」は、ジャンベ・ラカン・ドゥップの精神的核ともいえるもの。参列者は火の門を駆け抜けることで、知らず積み重ねた罪や穢れを焼き清め、身心を浄めた状態で新たな年を迎えるとされる。ここで火は厄災の象徴ではなく、癒しと加護の具現であり、浄火である。
人々が熱、光、煙を帯びながら円を描くように幾度となく火門を潜り抜けるさまはひとつの曼荼羅となり、祭りは輪廻の香りを纏い完結する。